
巷では『魔の二歳児、悪魔の三歳児、天使の四歳児』という言葉があるようで、2歳から3歳に至る期間はとにかく親のいうことを聞かない、魔の期間であると言われています。
具体的な行動としては、なんに対しても「いや!」と言ったり、親の気をひくためにものを投げたり落としたりをわざとやるようになります。
発達段階
子どもの肉体的j・精神的発達の見地からすると、この時期は歩行が完成した状態で手足を自由に動かせるようになっています。
とはいえ、まだ手先の動きが器用とは言えず、細かい作業を難なくできるという状態ではありません。
言語もまだ不完全で、単語はほぼ正確に聞き取って発音もできるようになっているものの、長い文章を理解することや文章で相手に意図を伝えるにはまだ困難を伴います。
精神的な面では、秩序に対するこだわりが出てくる時期であり、『自分はこうしたい』という明確な意志を持つようになります。
つまり、『伝えたいこと、やりたいことがあるが、うまく表現できない。操作できない。』というイライラが子どもの中に渦巻いている時期だということを理解しましょう。
簡易なコミュニケーション手段
いたずらというのは、漢字に『悪』の字が含まれるように、一般のイメージとしては軽度な悪意を伴って行われるもの、というところだと思います。
しかし、悪意というのはなかなか高度な概念であり、相手が嫌がることしなければならないので、相手の嫌いなことや弱みを知っていなければ悪事をはたらくことができません。
そのため、2-3歳レベルの子どもで純粋に悪意をもつということはありえません。
どちらかというと、前述のような発達の段階にある中で、手っ取り早く大人の注意をひく手段として使われているものだと認識しましょう。
いたずらをしたら、お母さんがドカドカやってきて「コラ!何度言ったらわかるの!」と言ってきたとすれば、それはシメシメなのです。
そう言われた時に子どもが学習するのは、『怒られるからもうやめよう』ではなく『これをやれば注意をひくことができるんだなフムフム』という知恵です。
大人の対応
いたずらをされた時の大人の対応はどうしたらいいでしょうか。
まずメンタルですが、当たり前ですがムカつきますので、ありのままに自分がムカついているという事実を認識しましょう。
そして声を出す前に、客観的に見て自分がムカついている相手は30年近く年の離れた幼児であることを思い出しましょう。
第三者視点から見れば、いかに大人気ないか想像がつくでしょう。
次に行動面ですが、前述の通り叱るというのは効果が薄そうです。
わたしは子どもができるまで、大人が子どもを叱っているのを見ると、教育的側面があるように見えていたのですが、実は8割方ストレス発散だったと、これまでの自分を振り返ってみて思います。
なので、これは教育なんだ!と自分に思いきかせて叱るのは、聖戦だと言い聞かせて自爆テロを行うイスラム国とあまり変わらないメンタルだと認識しておきましょう。
教育的側面からみてもっとも効果の高いのは、起きてしまった現実に対しての評価はせず、次にどうするかを一緒に考えるというアクションです。
アドラーの心理学でいう第二段階のアプローチまでで止めるということです。
例えば、「わざとジュースをこぼした」という現実を目にした時、各段階のアプローチは以下になります。
- 第一段階 事実確認:「こぼれちゃったね」という
- 第二段階 主観表明:「きれいにしてほしいな」と伝える
- 第三段階 評価:「よくないよ!」という
- 第四段階 解決提示:「ぞうきんで拭いたらどうかな?」と提示する
- 第五段階 命令:「掃除しなさい!」という
過去記事:ほめない・しからない教育のために注意すべき5つの境界線。
子どもが自ら、『ぞうきんで拭く』という解決策を考えつければもっとも教育効果が高いですが、第四段階まで行ったとしてもぞうきんがけの練習にはなります。
まとめ
こぼされたジュースを見たとき、とっさに『ぞうきんがけのレッスンでもしようか』と思えるようになったら一人前ですね。