本格的に活動を開始してから退職を決めるまで、約半年間という期間がありました。
振り返ってみると本当に大したことないように聞こえるのですが、その時には本当に大きなことのように感じる出来事というのがいくつもあったので代表的なものを紹介します。
仕事が手につかない
一番長く、一番きつかったのがこれです。
当たり前ですが、同僚に転職活動中であることを言うわけにはいきません。
それを一切隠しつつ、将来自分が実行に移すかどうかわからない計画を立てながら、以前と同じパフォーマンスを維持するのは至難の技です。
『この機能は今年度末の開発で入れられるように、今のうちから情報を整理しておきましょう』と自分で言っておきながら、その時俺居るかなぁと思うと、力の入れようも若干落ち気味になります。
もちろん、仕事としてやっている以上きちんとこなすのですが、転職活動をしていない時と比べるとモチベーションを無理やり向上させる為に余計なパワーを使います。
転職活動はいつ終わるかわからないわけですから、ゴールの見えないマラソンのようであり、これが結構しんどいのです。
なお、世の中にはストレスに耐えかねてか転職活動中であることを同じ部署の同僚とは言わないまでも、別の部署の知り合いに相談したりする人が居るようですが、絶対にやめた方がいいです。
同じ組織にいる限り、どんなに離れていても全く第三者の視点でアドバイスしてくれることは絶対にありません。
下手したら裏切られて、近い部署の同僚にチクられたりします。
言われた方もあなたとの友人関係をとるか、自身のプレゼンス向上をとるかの判断を迫られることになるので、迷惑でしょう。
親の反対
この歳になって親なんて…と思うかもしれませんが、実の親ではありません。
義実家の方です。
あなたは結婚式の時、上司にお祝いの言葉をお願いしたでしょうか?
わたしはあれが嫌いなので会社関係は一切式には呼びませんでしたが、やっているなら要注意です。
転職が一般的になったと言ってもここ20年くらいの話であり、30年以上前の時代を生きていた親の世代にとっては、やはり転職とは失敗した人がするものであって、転職でキャリアを磨くという考えはあまりありません。
特に自慢の娘がこの厳しい時代に大手企業に勤める人間と結婚したことを、ひそかに親戚に鼻高く語っているようなことは意外と普通にあります。
というか、わたしの義実家の方は2回も転職してる上に最終的には独立してるので、よっぽどチャレンジングな人生を送っています。
なのでむしろ応援されるかと思っていたのですが、まさかの正反対だったのが衝撃的でした。
毎週のようにLINEで高度経済成長時代の職業観に基づく教訓めいた説法が送られてくるのは、ただでさえ神経質になっている転職活動中には結構キツイですよ…。
妻の産休中、ひとりで数週間義実家に滞在して仲良くやれていたと思ったわたしでさえ、この有様ですから親戚関係の情報統制は気をつけましょう。
職がないという恐怖
オファーをもらった後というのは、事故がおきないように順番に処理していくものです。
まずはもらったオファーを受けるかどうか回答する前に、現職場に退職の意向と時期を伝えます。
そこで引き止め工作とかあるかもしれませんが、基本的にはもう口に出してしまったら最後です。
留まっても『こいつはまた辞めようとするかもしれない』という疑念は常に残りますので、その後の仕事の割り当て等にひびく可能性があります。
引き止められて留まるようなら初めからオファーを受けない方がいいです。
そして一瞬の出来事ですが、現在の職場に退職の意向を伝えたあと、オファーを受けますと回答するまでの間があります。
一般的には電話かメールで連絡するのでほんの數十分〜数時間だったりするのですが、この時間って事実上無職状態なんです。
現職場にはもう伝えてしまって後には引けない、けれどもオファー先にはまだ何も回答してない。
ふとそのことに気づくと、足元の地面がなくなったような感覚に見舞われました。
もちろん、書面でオファーが出ている以上そう簡単には取り下げることはできないのですが、ずっと勤めてきた人間にとって、職がないっていうのはやっぱり恐ろしいことなんだなだと感じましたね。
初めて上司、同僚の本音が聞ける
退職の意向を伝えた後から、退職するまでの期間はこれまで辛かった転職活動のご褒美のような、幸せな日々です。
すべての意思決定において、退職者に決定権があります。
いつ辞めるか、いつまでに仕事を引き継ぐか、どれくらい有休を消化するか。
すべてあなたが決めることができ、上司はそれを断ることはできません。
そして、退職することを正式に表明して初めて、同僚たちの本音を聞くことができます。
「なにぃ!俺も辞めるぞ!」「えっ?そんな嘘でしょ?」「なんとなくそんな気がしてました」「んー、いい判断とは思えないね」「これからはそういう時代だよね」などなど。
誰がどのセリフを言うか、正直全部想像どおりでした。
だからこそ、表裏のある人なんて殆どいないってのがわかったし、一方で本音で話してるのかなぁという疑念は、組織に生きる以上絶対に取り除けないんだなということに改めて気づかされましたね。
まとめ
今思い返してみれば、社会人として過ごした10年間の中でこれ程よく考え、悩んだ期間はありませんでした。
実は5年前にも一度転職活動をしていたのですが、その時はあまり本気でなかったので、ここまでよく考えることはありませんでした。
本気で辞めることを視野に入れてやるっていうのが、重要ですね。
活動を通して、非常に苦しい時期もあったものの、総合的にみて本当に得られたものは大きく、良い経験だったと思います。
これほどまでに自分自身について、家族の将来について、真剣に考える機会というのはなかなか得られるものではありません。
結果的に転職しないという決断になったとしても、それを考える過程は数年おきに必ず体験した方がいいと思います。
転職って外国の文化だと思いますが、やっぱり合理的にできてるなと感じますね。