2017年、日本初のICOを成し遂げたテックビューロの朝山CEOの新年の挨拶がブログに掲載されています。

 

外部リンク:2018年、テックビューロ代表朝山貴生より新年のご挨拶

 

2017年はわたしも自分なりに暗号通過やブロックチェーンについてよく調べ、格段に興味をもった年でした。

しかし、上記の朝山CEOの挨拶を読んで、改めて暗号通貨を取り巻く今の状況は一体なんなのだろうかと、しばらく考えを巡らせていました。

ビットコインはちょうど一年前に1BTCあたり10万円のオーダーに突入してから、現在は200万円近くまで高騰を見せ、その勢いは現在も留まることを知りません。

 

「このまま基軸通貨になるのかなぁ」なんて考えていたのですが、どうもビットコインの役割は通貨ではなく『価値の保全』にあると思うようになりました。

 

金塊はなぜ価値がある?

現代社会でもっとも価値の保全効果が高い資産は金塊です。

金塊は全ての通貨の価値の根拠となっているものですが、重く持ち運びにくいため取引の媒介物として現在は主流ではありません。

しかし、人類はどうしてこの金という物質に価値を見出したのでしょうか。

 

ビカビカ光って美しいからではないでしょう。(それも少しあるかもしれませんが)

金は原子番号79番の一元素にしか過ぎないのですが、それが有する化学的性質が、価値の保全という観点で理にかなっていたからなのです。

金には以下のような特徴がありました。

 

埋蔵量が限られていた

「金鉱脈=珍しい」という意味にも使われる通り、地球上に存在する量が他の物質と比べて少ない方です。

かといって少なすぎる訳でもなく、比較的古い時期には発見されていました。

ただ、次から次へと見つかるのでは、すでに見つかっているものの価値がどんどん薄れてしまいますので、程よく希少だったというところでしょう。

 

抽出しやすかった

金は他の物質と比べて化学反応を起こしづらく、独立した状態で自然界に存在しています。

したがって、低レベルの技術でも容易に抽出できました。

 

加工しやすかった

金属の中では柔らかく、展性に富むためいろんな形に変化させることができました。

これにより、小判のような人間が使いやすい形に鋳造できました。

また、一旦溶かしてしまえば、質量を減らすことなく再度鋳造できます。

 

これらが価値の保全効果として金の優位性を高め、歴史の中で力をもった人間が次々と金を集めるようになったのです。

つまりは、人類は発掘技術の発達により金という物質を発見し、それに価値を見出したというのが始まりなのです。

これは、現在のビットコインの状況と非常によく似ています。

 

金とビットコイン

金が価値を認められた理由をビットコインに当てはめてみます。

 

埋蔵量

ビットコインの埋蔵量は2,100万BTCが上限であると、最初から決まっています。

2140年頃までに、全てのビットコインが発掘される予定です。

 

抽出

デジタルなので、他の資産とは切り離されています。

また、現時点ですでに可能性は低いですが、世界中の全ての人にマイニングするチャンスがあります。

 

加工

ブロックチェーン上に存在しており、単一障害点がなく止まることなくネットワークが動き続けます。

だから、どこかで手に入れたビットコインは、自らが手放さない限りは消えることはありません。

誰かに手渡す時も、マイナーに支払う手数料と送金額の総和はネットワーク上で保持されています。

 

つまりは人類は、ここにきて金に代わりうる価値を発見したのです。

その価値は、目に見える所にはなく、かつデジタル上で静的ではありませんでした。

インターネットという技術と、集合体としての人類の思惑が混ざり合った動き続けるネットワーク上に見つかったのです。

 

通貨はトークンが担う

トークンエコノミーというのは、ある一定の数の人たちが、他から見たら価値を持たないトークンを介して資産を取引することにより動く経済圏のことです。

日本に住む我々は、日本円で色々な物を買うことができますが、ジンバブエで日本円を持っていてもあまり意味がありません。

1万円札が物質としてはただの紙であるのと同じく、トークンも数byte程度のただの0と1の羅列です。

しかし、その形式に価値を認める経済圏の中では、ある形式の0と1の組み合わせを大量に保有していることは絶大な意味を持ちます。

日本で1万円札の柄をした紙を大量に保有している人物が強大な権力を持つのと同じことです。

 

すなわち日本円が金に対してのトークンであるように、ビットコインに対してのトークンで何が主流になるかというのが今後の暗号通貨の注目ポイントの一つであります。

現在はイーサリアムのERC20トークンがもっとも力をつけており、ドル紙幣の跡を継ぐのかどうか注目が集まることでしょう。

 

まとめ

2018年の暗号通貨は、ビットコインが引き続き価値の保全効果を失わずにいられるかどうかと、どのアルトコインがトークンエコノミーの基軸通貨たりうるのかの2点を見極める年になりそうです。