長らく賃貸物件に暮らしていると、予期せぬ事故で物件を傷つけてしまうことってありますよね。

我が家でも少し前に、新しく購入したオーブントースターを壁面近くに設置しすぎて、壁を焦がしてしまうという事件が起こりました。

被害は以下のような状況。

 

 

直径20cm程度の範囲が茶色く焦げ付いてしまいました。

「あー…これで敷金飛んだな…」と思ったその時にふと頭に浮かんだのが、物件契約時に強制加入させられた保険の数々。

 

近年の賃貸物件では、国土交通省が現状回復のガイドラインを打ち出したをきっかけに、あいまいな理由で入居者から退去時に敷金をせしめることが難しくなりました。

その反動なのか、管理会社や大家が可能な限りリスクを削減しようとする傾向が強まり、賃貸契約がクリーニング費用の特約がついた内容になっていたり、入居者に種々の保険に加入させられるケースが増えてきていますので、物件契約時に色々説明されてよくわからないまま加入している方も多いのではないかと思います。

 

今回わたしが加入させられていたのは、「火災保険契約」と「賃貸借保証委託契約」の2つですが、今回使われたのは火災保険の方です。

 

火災保険

火災保険は賃貸物件には古くからある保険契約で、入居者の過失で物件が火災に見舞われてしまった場合に、損害賠償費用を保証してくれるというものです。

一般に賃貸物件に被害を与えてしまった賠償額は莫大なものになりますから、必要性としてはきわめて妥当なものです。

しかし、昨今は保険料をたくさん取りたいのか、火災以外にも色々なオプションがくっついているものが多くなってきています。

 

わたしが契約していたのは損保ジャパン日本興亜の『THE 家財の保険』という商品。

「かさい保険」と「かざい保険」となんだか語呂も似ていて混同しやすいですが、火災保険で一般的な火災による損害保険金だけでなく、以下のようなケースにも保険金がおります。

 

・家財が損傷、盗難されたケース。家財ですから、保証対象は自分の持ち物です。自分のものが盗難にあった場合に補填されます。家屋内だけでなくて、敷地内にとめてある自転車が盗難された場合にも、保険金がおります。

・大家や管理会社から賠償責任を要求されたケース。基本的には、建物自体にかかりますので、壁も対象です。今回はこれに救われました。なお、自分で修理した場合にはその費用も補填されます。

・個人賠償責任を要求されたケース。他人にケガを負わせせたり、ものを壊したときの賠償費用が補填されます。俗に「個賠責」と呼ばれるもので、いろんな保険にくっついてよく効果が重複します。家財保険のくせに、海外でも有効です

 

こうしてみてみると、思ったよりも保証範囲が広いことがわかります。

高価な電動自転車を購入したときや、海外旅行に出かける際に保険加入を勧められますが、思いのほか今入っている保険でも賄えている可能性があります。

 

保険金請求まで

今回狙うのは損害賠償請求なので、管理会社に損害賠償請求してもらわなければなりません。

しかし、損害賠償請求されてしまうと請求額を支払わなければなりませんから、事前に保険会社の方に今回のケースで保険金がおりるかどうか確認します。

自分の過失で壁を焦がしてしまったことを正直に保険会社に伝えましょう。

保険会社と管理会社は別の立場ですから、この時点でその情報が管理会社に漏れることはありません。

せっかくなので、それ以外にも気になっていた細かいものも問い合わせてみました。

例えば、『子どもがクレヨンでした壁の落書き』『椅子でできた床のへこみ』『ドアに貼っていたシールで剥がれてしまった塗装』を聞いてみましたが、全部保証されるそうです。すごいですね。

 

無事保険がおりそうだということがわかりましたら、管理会社の方に連絡します。

そうするとだいたいは業者が派遣されて現状確認に来ます。

今回の場合は、壁の焦げ以外は軽微なのでいいでしょうということで、一面の壁紙の張り替えだけすることになりました。

後ほど管理会社の方から電話がかかってきて、修理の日取り調整と請求書の発行手続きになります。

 

請求額に驚き

壁紙を1枚張り替えるだけなので、工事はあっという間に終わりました。

んで、工事後に送られて来た請求書に記載された金額はなんと、84,000円!

この辺のサイト見てたんで、2-3万円くらいかなーと予想してましたが、予想のはるか上をいく金額です。

 

内訳はこんな感じ。

  • クロス張り替え費用:42,000円
  • 養生費:10,000円(→ブルーシート敷いただけ)
  • 荷物移動費:20,000円(→コロのついたスチールラック2つどかしただけ)
  • 出張費:12,000円

 

あきらかにぼったくってますね。

思えば請求書発行前に管理会社から電話で、「…保険金、おりるんですよね?」という怪しい質問があったので確信犯でしょう。

まぁ、実際に全額保険でおりるんでいいことにしました。

 

あとは必要書類を揃えて保険会社に請求の手続きをすれば、1週間たらずで84,000円まるごと口座に振り込まれていました。

 

まとめ

いかに不動産業界が腐っているかよくわかりますね。

しかしまぁ、強制的に加入させられて毎年保険料の支払いをさせられているわけですから、使えるものは使い倒してしまいましょう。

 

……しかし、もう1つの「賃貸借保証委託契約」の方は使い物になりませんな。

入居者の支払いの延滞があった場合に、保証会社が立て替えるための保険ですが、なぜ保険料を保証を受ける対象ではない入居者側が支払わなければならないのか。