先日、ソフトバンクが従業員の副業を解禁するという発表を行ったのをきっかけに、働き方改革の中で「副業」に再びスポットライトが当たってきたように感じます。

 

外部サイト:ソフトバンク、11月から副業解禁=全社員1万8000人が対象

 

「本業に影響のない範囲」「届け出が必要」という条件がつくようなので、完全に好きにやってくださいという訳ではないようですが、二万人近い従業員を抱える大企業でのこの発表は、社会に大きなインパクトをもたらすでしょう。

とてもよい傾向だと思いますので、応援したいですね。

 

私たち30代中盤の世代は、物心つく頃にちょうど日本経済が下向きになり、それからずっと状況が変わっていないので、会社という仕組み自体に夢を見ている人は同世代でもそれほど多くありませんでした。

ですので、入社時から副業というか、本業の時間労働以外の収入源をつくることに興味を持っている人は同期の中にもちらほら見かけましたね。

とはいえ、フルタイムで働きながら副業で収益をあげるのは中々できることではないので、実際に実行に移した人間まで数えるとごく一握りになるでしょう。

 

副業解禁が与える効果

たいていの人は、「副業禁止」であることに安心感を持っていて、見えている範囲でしか同僚は収入を得ておらず、社内のランクである程度生活レベルの想像もつく訳です。

しかし、これが副業解禁となると、誰がどこで何をやっているかわからなくなります。

これは不安を呼び起こしますね。

 

しかし、では仮に明日から副業を解禁したからといって、いきなり大多数の従業員が本業をおろそかにして副業に取り組みはじめることはないですので、実態としては影響はないのです。

そんなにのめり込むほど副業に興味があり、かつ収益も上げられているということであれば、もう独立するなり兼業にするなりしているはずですしね。

 

とはいえ、組織全体で不安を煽るようなことをすると、社員の一体感は損なわれ、リソース的な影響はなくとも、コミュニケーションや意思決定に影響が出ないともいえません。

日本企業が得意としてきた「あうんの呼吸」が通用しづらくなるのかもしれません。

そういった目に見えない部分に対する不安が、まだ副業解禁に至っていない多くの企業の中にあるのではないかと考えます。

 

副業を解禁したことで、社員が課外活動で投資行動をし、それが本業にもフィードバックされることで、相乗効果が生まれるというのが、企業と従業員にとって最高の形なわけですが、実際にそのような効果が生じるには時間がかかるでしょう。

数年で交代するようなサラリーマン経営者が運営する企業においては、短期で効果が出るかわからないものをわざわざ自分の任期中に行うことは考えづらいです。

ソフトバンクのようなオーナー大企業か、政府からお達しでもない限り、一般の大企業にまで浸透するとは思えませんね。

 

ですが、そこで働く若い人から見たら、先も保証してくれない、キャリアも真剣に考えてくれない、のでは使い捨てにされているような気分になるでしょう。

せめて気持ちだけでも受け止めてあげるために組織として副業解禁というスローガンは必要なわけです。

副業禁止の職場では、副業の話をするのはタブーになりますが、逆であればどんなビジネスをやっているのかの話で盛り上がるかもしれません。

どちらが健全な職場なのかは、言うまでもないでしょう。

 

まとめ

副業解禁は、大企業であるほど実業務への悪影響はほとんどないと思います。

日系大企業に入るような人間は、案外まじめな人間が多いものです。

だから、どんどんやってもらいたいものですね。

 

ちなみに、副業禁止を謳っている会社であっても、「許可を得れば良い」という就業規則になっている場合はありますので、「うちの会社は副業禁止だから……」とグチを言う前に規定を確認してみましょう。