ブロックチェーンは中央管理者のいないネットワークだと言われていますが、さまざまな思惑が交錯し、いくつもの団体が作られています。

中央管理者不在のネットワークを管理したい中央管理者はたくさんいるということです。意味不明になってきた。

 

ブロックチェーンの話を追っていくと、これらの名前に遭遇することが多いので、今回は学習も兼ねて代表的なものをまとめてみようと思います。

あくまでブロックチェーンの団体であって、特定のコインと結びつかない場合があります。

それぞれのコインにはこれらの団体とは別に開発者コミュニティがあって、それらは個人のゆるやかな集まりなので、それについては言及しません。

 

リップル社

まずは、時価総額第3位の暗号通貨リップルの管理を行うリップル社です。

リップルはブロックチェーンを用いた送金のネットワークではありますが、通貨XRPの発行とブロックチェーンへの供給はすべてリップル社が管理しています。

ブロックチェーンを使っているという点でリップルは他の暗号通貨と同じではあるのですが、その考え方が対極に位置しています。

実はわたしは暗号通貨の中で一番邪悪な存在だと思っています。

 

リップルはよく国際送金のプラットフォームだと言われます。

円をドルに変換するとき、直接両替するよりもXRPを経由すると安くすむよ、ということです。

でも、リップルが目指すのはそれだけではありません。

 

Suicaからドルに替えるのも、XRPを使えばできるよと言っています。

ツタヤのTポイントをドルに替えるのも、XRPを使えばできるよと言っています。

そして、ビットコインをイーサリアムに替えるのも、XRPを使えばできるよと言っています。

 

ん?ビットコインもイーサリアムも別のブロックチェーンなのに、それをブロックチェーンのリップルで仲介するってどういうこと?

あやしくなってきました。

 

つまり、リップルがやろうとしていることは、中央管理者のいないブロックチェーンを使って、非ブロックチェーンのネットワークも、ブロックチェーンのネットワークも、全てを繋げてしまうネットワークを作ろうとしているのです。

つまりは、究極の中央集権型ネットワークです。

そのために、リップルがW3Cと連携して定義したのが、ILP(インターレジャー・プロトコル)と呼ばれる決済規約であり、リップルと使うと宣言した銀行や組織は、このプロトコルに対応を進めています。

そしてついに、2017年6月にドイツ・ベルリンで行われたカンファレンスで、BTCをXRPに変換するプラグインまで公開しました。

 

言ってみればこれは世界征服であり、世界中全ての銀行、仮想通貨取引所、トークン発行組織、個人を一つにまとめあげようという試みです。

わたしは成功してほしくないですが、リップル社は米国企業であり、同じように世界征服を企むアメリカ政府を抱きこもうとしているように見えるので、非常に手強いです。

 

イーサリアム企業連合

企業の中で、イーサリアムのスマートコントラクトをどのように実業に役立てようか?をテーマに結成された団体です。

スマートコントラクトはまったく新しい技術なので、どのようにすればビジネスでうまく活用できるのか、わからない段階なのです。

企業1社で取り組むにはリスクがありますので、様々な分野のブレーヤーが結集して、リスク分散しながら使い方を見つけていこうよ、という取り組みなのでしょう。

とても筋の通ったやり方に見えますが、逆に言ってしまえばあまり革新的なブレークスルーは期待できそうにないなー、とも感じます。

参加企業も、マイクロソフト、インテル、トヨタ自動車(北米)と、ひと昔前に隆盛をきわめた企業が名を連ねています。

 

Hyperledger

ハイパーレジャーはオープンソースOS、Linuxをサポートする非営利団体、Linux Foundationによって設立された、オープンソースのブロックチェーン販とも言える存在です。

これは、ビットコインやイーサリアムといった暗号通貨の土台で動くブロックチェーン部分だけを切り出してオープンソースにしたものとなっています。

参加企業によって様々なプロジェクトがブランチしており、Hyperledgerをベースに開発されたブロックチェーンはHyperledger ◯◯と名付けられます。

ブロックチェーン界隈では、IBMが開発したHyperledger Fablicが有名です。

参加企業はブロックチェーン専業企業や金融機関の他に、IBM、日立、富士通、NEC、NTTデータなど、古き良き?IT企業が名を連ねています。

Linux FoundationならびにLinuxOSが1990〜2000年代にPC・モバイル市場にもたらしたインパクトがいかに強大だったか、よくわかります。

その当時をよく知る現経営陣の脳裏から離れないんでしょうね……。

 

R3

R3は分散型台帳技術を開発する企業であり、それをとりまく金融機関のコンソーシアムです。

初期はブロックチェーンの開発を行なっていたのですが、途中のバージョンからブロックチェーン的要素を有した非ブロックチェーン製品の開発に切り替えました。

それもあってか当初は数々の世界的金融機関を従えていたのですが、ここ1年くらいでゴールドマン・サックス、JP・モルガンといった主要な顔ぶれが脱退しています。

上記金融機関はイーサリアム企業連合の方に乗り換えを行なっているようです。

幹事のR3ですら、リップル社に訴訟でケンカを売り始めるような状態であり、コンソーシアムとしてはもう末期的ではないかなと思われます。

 

まとめ

何だかリップルの話が長くなってしまいました。

それだけ暗号通貨の中でリップルが持つ政治力は脅威であり、ビットコインが内紛ばかり繰り返しているうちに、天下を取られる日が来てしまうかもしれません。

あとは覇権を奪われまいとする金融機関が、いろんな技術を持った企業に抱きついて連合を組んでは解散しというのを数年単位で繰り返し、その横でIT企業連合はオープンソース団体の傘に集まるという状況です。

 

現在のITの覇者たちは、Googleベンチャーズがリップルに出資して話題をあつめましたが、技術的な協力を見せているようには見えません。

Amazonやfacebook、Appleあたりは未だ動きなし、という状況ですね。

おそらく上記のような企業に勤務する最高峰のエンジニアの視点でみれば、この状況であれば一人で飛び出してスタートアップを作るというのが、一番合理的なんでしょう。