……なんてものがあるんですかね。

ショッピングを終えて家に帰り、ふと「んー、なんでこれ買っちゃんたんだろう」。

そんな想いはもうしたくないといつも思うのに、どうしていつも繰り返してしまうのでしょうか。

今回は売っている側の心理・テクニックを、よく観察してみましょう。

 

購入に至る脳

人が購入を決意するときは、常に無意識の脳が判断をしているといいます。

この「無意識の脳」は普段の生活の中の数十秒しか姿を見せることはなく、生活のうちの大半は意識の脳が人の思考を支配しています。

世に溢れるCMや広告、お店のディスプレー、店員の甘い言葉は、実は商品を買わせることを直接的に働きかけてくる訳ではなく、人を無意識の脳にさせることを目的にしています。

逆に買うことを積極的に勧めてくるようなセールスは、やり方が下手くそということですね。

ただ、一度無意識の脳になってしまうと、もう人は購入をやめることはできません。

であれば、このプロセスをわざと外してやることでセールス攻撃から身を守ることができるでしょう。

いったいどうすればいいのでしょうか。

 

① こいつは理解不能だ!と思わせる

無意識の脳に入る瞬間というのは、「この人、わたしのことわかってる!」と思う瞬間です。

こうなった瞬間、あなたは相手の話に注意を傾け、なんでも従うようになってしまうでしょう。

実はこういう状態にするために、セールスマンが仕掛けてくる攻撃には3つのステップがあります。

 

Step1. 興味を持たれる

「お困りごとはなんですか?」の一言から始まる第一手がこちら。

お店に入っている時点で、何か探しに来ているという事実があるものだから、「いえ。特に困ってません。」と言うのは明らかなウソなので、誠実な人ほど言いづらいと思います。

店員を傷つけまいと「えーと、(特にないんだけど)今日はTシャツを……」という感じで話に応じてしまうと、これでもう店員から見ると第一ステップクリアです。

この時点できっぱり断れる強い意思を常に持っていられるのならよいのですが、毎回そうはいかないでしょう。

そんないい人なあなたにおすすめしたい対策ワードは「ざっくばらんに見てます」だ。

自分も相手も傷つけることなく、はぐらかすことのできるマジックワードです。

かつて百戦錬磨の渋谷109の店員に放ったところ「その返し、マジヤバイっす」ということで効果はてきめんのようでした。

この段階で防ぐのがもっとも費用対効果が高いでしょう。

 

Step2. 共感される

ステップ1が滞りなく行ってしまうと、次は店員側のスキルになってくるので客側はどうすることもできません。

柳原可奈子ばりに、あの手この手で「わたしもそうなんですよー!」とあなたに合わせてきます。

基本的に全部ウソなので、聞き流すしかないでしょう。

 

Step3. 理解される

無意識への洗脳の最終段階は、あなたに「この人はわかってるな」と思わせることです。

ですから、やり方としてはステップ2が成功した時点で終わり、と思ってよいでしょう。

だから、これが成功するまで360°全ての方向からあなたの理解ポイントを探ろうと猛攻をかけてきます。

下手な鉄砲も数打ちゃあたる、と教えられているので終わることがありません。

 

② 沈黙して時間をおく

店員の口車に乗せられ、あなたは無意識の脳になってしまいました。

こうなってしまったらもう、『買う』ことは決まってしまっています。

あとは何を買うかですが、よいものと悪いものを判別する能力は無意識の脳にはありません。

だから、何でも買ってしまいかねない状態にあるわけです。

この時に仕掛けてくる店員の攻撃は、具体的な商品を提示して「これなんかいかがですか?」と言ってくるものです。

ここで質問などをしてはいけません。

「これのどこがいいんですか?」などと聞くと、その商品のメリットやデメリット、その商品が保証してくれることなどを次々に話し始めます。

デメリットも提示するのは、いいことだらけの商品は信用されないという不文律があるからで、あなたの信頼を得るのにも有効ですし、だいたいはそのデメリットを解消する他の商品があったりします。

 

それでもなお、無駄な買い物をしたくない時に有効なのは、意識の脳が戻ってくるのをひたすら待つことです。

意識の脳は物事の良し悪しを判断する力があります。

だから、意識の脳が戻ってくると「買う」と決まっていた状態が一旦リセットされるのです。

そして、最初にも述べたように無意識の脳はそんなに長続きしないので、1分かそこらの時間があれば、元の状態に戻れるでしょう。

 

まとめ

無駄な買い物をしない心がけは、はぐらかすことと、時が過ぎ去るのを待つことの2つだけです。

逆に、ここまでやってもまだ興味があるものなのであれば、それはあなたが本当に欲しいものなのかもしれません。

 

売れるまでの時間―残り39秒 − 遠藤 K.貴則 (著)