わたしは常々地方に移住することを目指したいと口にしているのですが、そもそも現在の地方都市を魅力的に感じているかというとそうでもありません。

自分がイメージする理想の暮らしは、首都圏のように人が集まる駅前に魅力的なショッピング施設やレストラン・カフェが並び、徒歩で必要な日常の買い物は済ませられるのに、車で少し郊外にでれば自然豊かな田園風景や公園が広がるといったものですが、そんなものはこの日本のどこにも存在しないのではないでしょうか。

どこの地方都市でも駅前はどこかで見たような灰色の商業ビルが立ち並び、入っているテナントも魅力的ではありません。

それに加え、駅に車で向かうユーザーを優先した結果、駅前は道幅の広い道路ばかりでショッピング施設を巡ろうにも疲れてしまいます。

感覚的には、大人の足でも快適に巡れる範囲は徒歩15分圏内くらいで、これを越えるとスポーツ感覚が必要になってきます。

つまりは、ある拠点から15分以内に一通りの商業施設を並べなければいけないわけですが、人口の少ない地方で、比較的地価の高い駅前に有力テナントは中々出店してくれません。

その結果、中心部活性化を目指した地方自治体のコンパクトシティ政策は開始から10年たっても一向に成功事例が現れないわけです。

 

地方都市の中心部ってどこ?

中心部ってなんでしょうか?

普通に考えると駅ですね。

首都圏は紛れもなく駅で、その中でも特に大きな駅ビルと周辺に商業施設が広がる特急停車駅(ターミナル駅)が中心部と言えると思います。

わたしたちも、住むところを選ぶ時には最寄駅に商業施設がどれだけあるかや、最寄駅から近くの大きなターミナル駅まで電車でどれくらいか、ということを気にします。

こう考えると『駅』は必要条件ではなくて、『賑わいのある商業施設』があるところが中心部なわけですね。

地方で賑わいがあるのはどこかというと、イオンモールに代表される大型ショッピングモールです。

 

イオンモールのテナントたち

大型ショッピングモールに入っているテナントは、スターバックスコーヒーに代表されるような、首都圏のターミナル駅にも必ずあるような有力テナントたちです。

悪く言ってしまえば紋切り型のテナント達で、遠くからわざわざ出向いていきたいようなものではありません。

しかし庶民のほとんどは、普段は有名な割には安くて、よい品質の商品を提供するお店に毎日歩いて行きたいわけです。

地産地消のロハスなお高めレストランに行くとか、そういう意識高い消費行動はたまにでよいわけです。

事実、わたしも徒歩圏内で毎月行くようなお店は殆ど日本全国にあるようなチェーン店ばかりです。

電車で数分もいけばターミナル駅のおしゃれなショッピング施設に行けますが、そういうのは数ヶ月に1回行ければ満足なわけです。

 

まとめ

地方自治体主導の中心部活性化が失敗するのは、そもそも中心部の設定を間違っているからでしょう。

地方民は駅には殆どいきません。

『ここ10年電車に乗ってない』なんて若い人はザラにいます。

昔は首都圏の鉄道駅だって、鉄道会社が何もない荒野に駅を作り、周辺市街地の活性化を行政と協力して街を作り上げてきたわけです。

鉄道→車という技術の進化を受け入れて、イオンモールを敵とみなすのではなく新たな地方の中心部と定めて都市計画を制定していくのがいいのではないかと思います。