ビットコインなどの仮想通貨で話題のブロックチェーン技術ですが、新聞やニュースなどではカッコ書きで(分散型台帳技術)と併記されることが多いと思いませんか。

このカッコ書きがどうにも気持ち悪いなーと以前から思っていたのですが、何となく理由がわかった気がします。

 

バズワード

ブロックチェーンはIT業界では今や流行り言葉になっていて、いかに早くこれに飛びつくかということが関心の的です。

このBlockchainという横文字の響きはとてもカッコよく、いかにも輝かしい未来を感じさせるのに十分な魅力を秘めており、なるべくしてなったバズワードと言えるでしょう。

なんですが、何十年も前からITの現場でデータベース開発に携わってきた人からすれば、おそらくデータベースの仕組みの延長線上にある一つの概念にすぎないという感触なのではないかと思います。

コンピュータに保存される情報はすべて0と1のカタマリであり、これはWordのファイルだろうがビットコインであろうが同じです。

データベースというのは、この小さなビットのカタマリを人間が書き換えたりしやすいように構造化したものなんですが、1970年頃にファイルシステムが登場してから、現代のリレーショナルデータベースの時代まで、いくつかの変遷を経てきています。

 

外部サイト:ブロックチェーンはデータマネジメントに使えるのか

 

これに詳しい技術者にとっては、データベースの構造なんていうものは10年そこらで技術革新があるもので、ブロックチェーンもその延長線上に位置する概念にすぎなくて、さて何十年もつかなーという見方がしっくりくるんじゃないかと思います。

あるいは、なんとかこれまでの経験の中で理解しようとする気持ちが、そうさせるのかもしれません。

 

一方で、ブロックチェーンはその誕生経緯からしてビットコインと切っても切り離せない関係にありまして、このビットコインはこれまでの通貨の仕組みをガラッと変えるものとなっています。

物々交換の時代が終わって、石のお金や貝殻が使われていたのは紀元前の四大文明の時代まで遡りますので、少なくとも2000年以上の歴史はあるわけです。

そのような目で見る人からいえば、2000年の悠久の歴史に革新を起こす技術であり、前述のIT技術者のような冷めた目線ではとても見られないものなわけです。

とは言っても、貨幣が登場してまもない頃を想像すると、おそらく肉と魚を交換していた当事者同士が、「肉は貝殻3枚、魚は貝殻2枚」のような取り決めをして支払っていたんではないかと思います。

これはまさに、ブロックチェーンが実現する中央管理者のいない世界であり、ビットコインはこの肉と魚の交換を寂れた田舎町の中だけでやるのではなく、地球全体でやろうって話なわけです。

そうなると、ビットコインはある意味貨幣の仕組みを文明が起きる前の時代に戻そうとしているのかもしれません

 

真価

進化の早いITの世界でも、データベースの概念の進化は比較的緩やかに感じます。

人間が扱うのに近い部分の構造を変えることになるので、いろんな使い方が試行錯誤されて、まぁ大丈夫そうだねとなるのには10年くらいかかりそうな気がします。

貨幣が全面的に置き換わるなんて言う話はそれからまだ先の話でしょう。

50歳以上の方は生きているうちにはあんまり関係なさそうですが、40際以下の方は自分ごとで考えておいてもよさそうですね。

 

まとめ

技術を知っていることをアピールしたい人や、知らないけどとりあえず落ち着けと言いたい人は「分散型台帳」。

夢追い人や、知らないけどとりあえず騒ぎたいお祭り好きは「ブロックチェーン」と呼びましょう。