何かをするときには、万一の事故にそなえて保険に入ろう、というのが通説になっています。

たとえば海外旅行にいくときには、普段保険のことなんか考えない人でも頭をよぎるものではないでしょうか。

 

旅行保険とは

旅行保険と言われるのは、そのものズバリ旅行中の事故に備えるための保険なのですが、保険のジャンルからすると損害保険の一種にあたります。

損害保険というのは、他にも自動車保険、火災保険、地震保険など本当に多岐にわたります。

国内旅行中が対象のものであれば国内旅行保険、海外であれば海外旅行保険などと呼ばれます。

これらは「何をしているときに対象になるか」の違いで保証される事故の種類には殆ど違いはありません。

なお、損害保険以外の保険は基本的に生命保険になりますので、こちらは何をしているときかはあまり関係ありません。

 

考えるべきこと

多くの損害保険に共通する保証対象の場面は以下の5つに絞られます。

  • 死亡・後遺障害
  • 治療費
  • 賠償責任
  • 携行品損害
  • 救援者費用

こうしてみると、全部重要に思えますがわたしは3つにわけて考えています。

 

① どうしようもないカテゴリ

「死亡・後遺障害」にあたります。

安い保険でも最大1,000万円くらいもらえます。

なんですが、起きてしまったら本当に最悪なケースなので、ちょっと保険金がおりたからって慰めにもなりません。

ここを本気で保証したいと考えているのなら、旅行保険なんかに頼るのではなく、もっと生命保険とか本格的にその後の家族の人生を考えた保険に入るべきです。

なので、旅行保険に関してここは無視です。

 

② 万が一カテゴリ

「治療費」「救援者費用」にあたります。

治療費はその名の通り治療に用した費用のことで、救援者費用とは治療のあとのサポートのために遠方から親族を呼び寄せた場合にかかる費用のことです。

万が一の事故で、治療費が100万円とかに及ぶ金額になってしまったときにも安心です。

なんですが、そもそも日本には健康保険というものがありまして、100万円の治療費でも3割負担なら30万円で済みます。

さらに、ある程度保険を知っている人なら耳にしたことがあると思うのですが、健康保険には「高額療養費制度」というものがありまして、1ヶ月に支払う治療費が高額になった場合、一定額が補填される仕組みです。

自己負担額の基準は人によって異なるのですが、だいたい10万円くらいだと考えておいてよいと思います。

すなわち、旅行中の事故で100万円規模の治療が必要になってしまっても支払い額は10万円程度ですみます。

この時点で、国内旅行では考える必要ナシです。

では、海外ではどうでしょうか。実は、海外でも高額療養費制度は有効です。

なんというか、日本と海外の物価差のようなものを考慮して計算方法がちょっと変わるのですが、国内と同じように補填されると思っておいてよいでしょう。

健康保険ってすごいですね。

でも、通常のサラリーマンだとしても毎月何万円も払っているわけですから、これくらいできて当然でしょう。

ですので、このカテゴリも考える必要ナシです。

救援者費用?親族なんだからそれくらい払ってくれよ……って感じですね。

 

③ 嫌な思いをしたくないカテゴリ

「賠償責任」「携行品損害」にあたります。

個人的に、旅行保険で考えるならここだけです。

賠償責任は、他人や他人のものを壊してしまったときに支払う賠償金です。

携行品損害は、自分の持ち物が紛失・盗難等にあってしまったときに支払われる保険金です。

旅行先で浮かれてまわりが見えていなくて、人にぶつかった際に高価な服にコーヒーをこぼしてしまったとか、買ったばかりのスノーボードが盗まれた、とかいう場面です。

わたしの人生でも賠償責任、携行品損害ともに遭遇したことがあります(残念ながら、そのときは保険に入っていなかった)。

そもそも、旅行というのは気晴らしに行くものです。

気晴らしに行った先で嫌な気分になったのでは行く意味がありません。

 

保証かぶりに気をつける

気にすべきは「賠償責任」「携行品損害」ということがわかったら、いきなりそれが保証される旅行保険を選んでしまうのではなくて、次は自分が入っている保険でそれらが補填されていないか確認します。

保険というのはあまり意図せず入れられているもので、意外とほとんどの人がなにかしら加入させられているものです。

例えば以下のようなものがあります。

  • クレジットカードに付帯する保険
  • 賃貸契約時に入らされた火災保険
  • 会社でとりあえず入った共済や損害保険

すでに入っている保険で、行き先(国内か海外か)と保証内容がカバーされるかどうかを確認してみましょう。

 

クレジットカードの保険はちょっと注意

特に海外旅行なんかだと「クレジットカードに保険がついているから大丈夫!」という人も多いと思いますが、普通なカードだとちょっとウラがあるので注意が必要です。

それは、「効力の発効に条件が付いているケースがある」ということです。

よくあるのは、「海外渡航に使った移動手段に該当のカードを使っていないと有効にならない」というものです。

この移動手段とは電車とかバス、タクシー、飛行機代などなんでもいいですし、金額も1円以上であればいいようです。ツアー代金なんかも、飛行機代を含んでいるのでよいようです。

なんですが、飲食代とかホテル代ではダメで、さらに普段Suicaなんかを使っているとチャージ済みのところから引き落とされる場合は使ったことにならないので、意識していないと保証が無効になってしまいます。

自分のクレジットカードに保証が付いているのは知ってるけど、約款をよく見たことないという人は※がないかいまいちど確認してみましょう。

ゴールドカードのような高ランクのカードは持っているだけで保証が有効になるケースが多いようです。

 

まとめ

上記まで調べて、保証に穴が空いてるなーと思ったら、旅行保険を契約しましょう。

今はワンタイム保険なんかもあって、スマホから行きの車や電車の中でポチッと契約できますし、金額もワンコインで済んだりします。

いちどでも自分の普段持っている保険をちゃんと洗い出しておけば、行く先々で小銭を失わずに済みます。