何度も言っているようにわたしは会議が嫌いなんですが、とにかく日本の企業は会議が大好きです。

「三人寄れば文殊の知恵」ということわざのごとく、ちょっと難しい問題に直面すると、『直接あって話せばなにかよい解決策が浮かぶんじゃないか……』という淡い期待を胸に、わらわらと集まって時間を無駄に過ごした経験は誰にもあるんじゃないでしょうか。

まぁ3人で済めばまだいいんですが、だいたい5-6人あつまってウンウン唸って終わるか、変な結論になって全然関係ない方向に進んでしまって事態を悪化させることすらあります。

一方で「船頭多くして船山に登る」なんてことわざもありますしね。

 

会議には戦略が不可欠

どの企業でも、新人研修で「会議は準備が8割」なんてどこかで聞きかじった正論を叩き込まれるのですが、大抵教えている当人ができていないので、理想はわかったけどいったいどうすれば……ということになっています。

教えてもらう機会があったら、素直にどうすればいいか聞いてみたらいいんじゃないですかね。

多くは、「それはケースバイケースだ」とか「事前に議題を決めていくんだ」とか、ごくごく基本的なことは教えてくれるかもしれませんが、難易度の高い問題を解決するための会議にはこの程度の準備では通用しません。

これじゃあ、準備が2割程度ですね。

 

会議の果たす役割

チームが困難な状況に直面した時に、会議が果たす役割はなんでしょうか。

問題発見、もしくは問題解決あたりが真っ当な答えなんでしょうが、これをやるだけなら別に会議をする必要はありません。

会議に求められる機能というのは、「イケてないチームが、イケてるチームになる」ということです。

イケてるチームになれば、各個人の業務の中でもどんどん問題発見や問題解決が進みますので、このために人を集めて協議する必要はなくなります。

イケてないチームのままでは、個人のモチベーションも低く、会議を招集しても嫌々集まってくるだけなので、事態は改善しません。

イケてるチームになるための会議というのは、どんなものなのでしょうか。

 

達成したいことはなにか

あなたが会議を主催するなら、人を集めて何を達成したいのでしょうか?

呼ばれる側なら、その会議が何を達成する目的で招集されているか、わかっているでしょうか?

達成したいことが明確に思い描けていないのであれば、会議を開いてはいけませんし、呼ばれた会議に行ってはいけません。

自分が主催するのであれば、達成したいことは紙に書いて、会議のはじめにメンバーに共有しましょう。

参加する側であれば、事前に主催者に聞いて、自分が役に立つと思えば行けばいいし、力添えできないと思ったら欠席しましょう。

誰を呼ぶ?

自分が主催者側であれば、誰を呼ぶかを選ぶことができます。

ここで、会議に参加する人をどう選ぶかは極めて重要です。

参加者ひとりひとりが、達成したいことに繋がる要素をなんらか有している(と思われる)人物である必要があります。

つまり、主催者から参加者に対して暗黙的に『あなたに期待したいことはこれです』というのがある状態ということですね。

この人を読んだらあの人も呼ばなきゃ……みたいな考え方はダメです。

結婚式の席次表じゃないので、そういう考え方は捨てましょう。

 

参加者すべてに考えさせる仕掛けをもつ

会議に呼ばれた人というのは、多くがお客様気分でやってきます。

この会議で何が決まろうが、決まらなかろうが主催者側の責任だ、と思っているのです。

そういう考え方を払拭するのは、一つの型があります。

参加者全員に対して何かを問う時、いきなり自由発言形式には絶対にしないことです。

まず、参加者全員に紙とペンを配っておき、問いに対して数分間自分の意見を紙に書いてもらいます。

研修なんかでもよくやりますね。

これをやると、その場に来るまで何も考えて来なかった人も、考えざるを得ません。

その後各自の意見を共有する時間を作ると、たとえ先に同じ意見が出たとしても、自分で考えた結果と他の人が偶然同じだったということがわかります。

これは、場に出る意見の量や質はそれほど変わらないことが多いですが、参加者全員に主体性が生まれるという見えない効果があります。

『イケてるチーム』に一歩近づく秘訣です。

発言の種類を変える

会議で参加者がすることは、発言です。

「発言」というのは大きくわけて、3つに分類することができます。

Q(質問)、R(要求)、C(コメント)です。

この中で、最も生産性の低い発言の種類はC(コメント)です。

コメントは、「〜だと思います」「〜が問題だ」「〜と聞きました」などで終わる類のもので、聞いた側も「ふ〜ん。それで?」と心の中で思って終わるだけなので、あまり意味がないのです。

時間がもったいないので、いちいち突っ込んだりしません。

しかし、一般的な会議では発言の約95%がこのC(コメント)で占められているんだそうです。

1時間の会議であれば、57分がコメントの応酬ですね。これでは何も事態が好転するはずがないですね。

かといって、コメントは差し控えるように、というのでは雰囲気は悪くなりますし、コメントの中に誰もが気づかなかった問題点が含まれていることもあります。

なので、あたたが発言者であれば、C(コメント)を思いついたら「どのようにすれば〜だろうか?」というQ(質問)の要素を加えて、参加者全員に考えさせるようにします。

ただ、C(コメント)の発言ばかりする人に対しては「あなたは、どうすればいいと思いますか?」と聞きましょう。

その答えがない場合は、その方が会議で果たす役割はないですので次回から呼ぶのをやめましょう。

 

まとめ

会議はできる限りやりたくないものだと思うのは、それが無駄なものだと思えるからなんですね。

「イケてるチーム」の会議はとても魅力的で、参加者は会議をとても楽しみにしています。

そのような状態に持っていくのは、集まる人全員が善人にならなければいけないのではなくて、個人の努力で身につけられるスキルということですね。

 

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