
さて、中級編に続いて上級編だ。ここでは商品を選ぶ上で最も重要な、価格に惑わされない強い信念を身につけていただきたい。
LEVEL7. 品質と価格のバランス
そもそもどうして、羽毛布団業界はこのような歪んだ構造になってしまったのだろうか。実は、その一端を担っているのはとにかく安いものばかりを追い求める消費者のせいでもあると言われる。それなのであれば、適正な品質のものを適正な価格で販売していることに価値を見出すのが、いい買い物をするための第一歩だ。なので、色々知識を得た後で結局自分が羽毛布団にいくらの価値を見出すのか、値段から考えるのがいいだろう。一般的にシングルサイズの羽毛掛け布団の価格で以下の価格帯を目安にするのがよい。
- 廉価品:1万円以下
- 普及品:2〜3万円
- 高品質:4〜9万円
- 高級品:10万円以上
では次に、それぞれの価格帯がどの辺りの品質にあたるか、老舗・東京西川の羽毛布団ラインナップを参考に当てはめてみよう。どうして老舗を例に出したのかというと、このような商売では信用こそが第一なので、最高級品を扱っている老舗が安易に虚偽の表記をして信用を失うようなマネをする可能性は低いと考えたからだ。なお、参考にする東京西川はブランド品かつシングルロングサイズなのでおよそ上記カテゴライズから1.5倍程度割り増し料金になっていると仮定し、以下ではその分の価格を割り引いている。
凡例:産地 / 種別 / ダウン比率 / 側生地 / 価格(割引後)
- 廉価品カテゴリ
- 東京西川では該当なし。おとなしく中国産を選ぼう。
- 普及品カテゴリ
- ロシア / ダック / 93% / リヨセル70%, ポリエステル30% / 3万円
- 高品質カテゴリ
- ロシア / グース / 90% / リヨセル70%, ポリエステル30% / 5万円
- ロシア / グース / 93% / リヨセル55%, 綿45% / 7万円
- 高級品カテゴリ
- ロシア / マザーグース / 93% / リヨセル65%, ポリエステル35%/ 10万円
- ポーランド / マザーグース / 95% / 綿100% / 15万円
- ドイツ / マザーグース / 95% / 綿100% / 20万円
- ポーランド / マザーグース / 95% / 綿100% / 35万円 ※手選別
- アイスランド / アイダーダック / 95% / 綿100% / 100万円 ※日本製
- アイスランド / アイダーダック / 95% / 綿100% / 200万円 ※ドイツ製
どうだろうか。むしろ高級品カテゴリの方が青天井で、格差社会なのがわかる。この中からあなたが妥当と思える金額を探して、それに近い品質のものをブランド料が乗っていない他の店舗で探すのが良いだろう。
おそらく、ここまで検討すれば候補は2,3個まで絞れるので、あとは細かい観点でどれを選んでいくかを次回紹介する。
おまけ
水鳥の種別で初級編で紹介したものの他に、最高級品にアイダーダックというのが出てきた。言ってみればこれはラスボスみたいなもので、北極圏にしか存在しない国際保護鳥に指定されている貴重なあひるのことである。もはや金額も100万円オーダーを超えるので、コスパで選ぶというよりは趣味の領域に入る。