
サッカーのワールドカップなどの実況ではよく、「組織 vs 個」という言い方で組織力を強みにするチームと、個人技に秀でた人材を有したチームを対比させて紹介されることがありますね。
記憶に新しいところでは、2014年のFIFAワールドカップ決勝でブラジルがドイツに1-7の大差で敗れたときに、「個の時代の終焉」なんて言葉もささやかれたように、いつも対比される関係にあります。
現実に悪はいない
才能あふれるひとりの青年が、絶対的悪の組織に立ち向かう、というのは少年漫画の王道といわれてきました。
少し前に半沢直樹や下町ロケットのような会社系ドラマが人気を博したように、そのシンプルなストーリー性は子供のみならず、大人にも人気があります。
こういった勧善懲悪ものが人気を博す背景には、多くの人が自らが属する集団や組織に、なんらかの不満を抱えており、それのはけ口となっていることが考えられます。
しかし、現実に存在する多くの組織において、本当に悪の心をもった人間というのはなかなか存在しません。
「あの部門の人とは話があわない」なんて思っていても、いざ自分が相手方に異動してみればそちらの色に染まりますし、誰かが異動してくれば話してみると結構話のわかる人だったりします。
普段あまりお目にかからないエグゼクティブの方も、実際話す機会があったりすると普段遠くから見ている印象とはずいぶん違うものです。
このように、多くの人は基本皆「善人」であって、それをあたかも「悪人」かのように見せているのはわれわれの所属する組織なのです。
組織は人がつくるもの?
組織は人の集合体だから、組織が勝手に何かをすることはなく、そこに所属する人の意思で物事は変えられるという考え方もあります。
これは半分事実でもあり、半分嘘だと思います。
組織というのはだいたい20人を超えたあたりから、意思決定において個人の力量でなんとかなる範囲を超えていきます。
人は手に負えなくなった時、ルールをつくります。
このルールはある程度の人数の合意をもって形成されるものなので、後から個人が変更を加えようとしても、大きな抵抗にあいます。
この抵抗は現実にはひとりひとりの人間が抵抗しているのですが、この各々の行動を支配しているのは組織の文脈であり、組織が定めたルールにしたがって人間の論理的思考力を利用し、異分子を排除しようとする見えない力がはたらいています。
これはいわゆる組織が一人歩きし始めた状態で、一部の革命家の努力だけではなかなか対抗することができなくなっていきます。
組織を変えるのも人
一方で、半分本当だといったのは、組織を構成する人員が全員いっせいに変わってしまったら、同じ目的の組織でも全く違った生命体に生まれ変わるということです。
組織は、少しずつ入れ替わるパーツに対しては、色に染めて同化をはかろうとしますが、すべてのパーツすべて入れ替わってしまった時は、組織自体が変わってしまいます。
生命体には寿命があるように、組織にも寿命があるのです。
それは構成する「人」という血液が別の色に変わった時、組織という生命体もひとつの終わりをむかえるということなのでしょう。
まとめ
集団で仕事をしていると、つい誰かを憎んでしまったり、陰口をたたいてしまったりします。
満員電車の中でも、まわりの人に対してイライラしてしまうこともあります。
ですが、そういうことはすべて、その場を支配する組織という生命体がつくりだした幻なのです。
それを理解して人と接することが、全てを許せる「一流の人」の仲間入りをする第一歩だと思います。
一流の人に学ぶ 自分の磨き方