毎年9月はiPhoneの新機種発表の季節であり、ガジェット好きたちの界隈は大いに盛り上がります。

次期iPhoneは、初代iPhoneがアメリカで発売された2007年から数えてちょうど10年目の節目ということで、特別モデルが発表されるんではないかという噂も飛び交っています。

ちょうど妻が使っていたAndroidのスマホが割賦期間を終えて、そろそろ替え時かなという時期になったので「せっかくだから、iPhoneにしなよ」ということを伝えたところなんでそんなにiPhoneを勧めるのかと真顔で聞かれて1時間ほど頭を悩ませてしまいました。

AndroidもiPhone(iOS)も、同じくらい成熟したOSであり、お互い競い合いながら発展してきたので今や機能的な差はほとんどなくなっていると言えるでしょう。

わたしはAndroidが出たてでカックカクだったころからずっとAndroidメインユーザですが、途中からiPhoneも2台目で持つようになったのでその差はよくわかっているつもりでした。

なんですが、考えれば考えるほど明確な理由が出てこないのです。

しかし、どうしてiPhoneにしなよという提案が直感的に出てきたのか、探ってみたいと思います。

 

最初は確かに差があった

全面フルタッチパネルの携帯電話がスマートフォンという認識を世界的に知らしめたのがiPhoneでした。

その前はスマートフォンといえばBlackberryのことだったのですが、いまやそんなことを覚えているのは考古学者くらいでしょう。

米国での初代iPhoneの発売から遅れること1年、第二世代iPhoneが日本で発売されたのは2008年にソフトバンクからでした。

そして、さらに1年遅れて、2009年にドコモから日本初のAndroidスマートフォンHT-03Aが発売されています。

この頃のAndroidの品質はお話にならず、すでに完成されたユーザインターフェースと指に吸い付く反応を見せたiPhoneに対して、カックカクで全然指についてこず、頻繁に突然再起動するような機種もありました。

しかし、Appleによってガチガチに固められた箱庭の中でしかアプリを提供できないiPhoneに対して、Androidのオープンソースコミュニティはおおらかで、なんでも受け入れてくれそうな懐の広さを感じました。

HT-03A上で動くスーパーマリオをみたときの感動は忘れられません。(スーパーファミコンのプログラムをAndroid上に移植していた)

 

Android怒涛の追い上げ

iPhoneでコピペができるようになったと大喜びする哀れなApple信者を尻目に、Androidはその懐の広さで地道に改善を続けて行き、日本向けのローカライズで早期にFelicaを導入することに成功しました。

わたしにとってこれが非常に大きく、ガラケー時代に大いに活用していたSuicaやiDなどのクレジット決済サービスがAndroidスマートフォン上で早くも使えるようになり、Androidを選択する非常に大きな理由になりました。

iPhoneでこれができるようになったのはそれから6年近くあと、昨年2016年発売のiPhone7のApplePay導入からです。

それに、ソフトバンク以外のキャリアが当初Androidを主軸に据えていたことから、まだ当時コミュニケーションツールの主流だったキャリアメール(@docomo.ne.jpや@ezweb.ne.jpなど)との親和性が高かったことも理由として挙げられます。

しかし、スマートフォンでのコミュニケーションツールの座はLINEに軍配があがり、キャリアのサービスに縛られることがなくなると同時に、キャリアが推すAndroidにこだわる理由も薄れてきました。

そんなこんなをしてるうちに、あれよあれよとau、そしてdocomoからもiPhoneが発売されるに至り、AndroidとiPhoneは純粋にそのOSの能力だけで市場で比較することができるようになりました。

なお、スマートフォン向けの強力なCPUの登場により、操作性の面でも2014年頃にはAndroidとiPhoneの差はほぼなくなっていました。

 

それでもiPhoneを推す理由

機能的には同等、操作性も大差ない、使えるサービスも同じ……

スマートフォン単体としてみたときの両者の優劣の差はないと言えるでしょう。

それでも人にiPhoneを勧めるのは何故なのかというと、以下の点が挙げられます。

 

① 使っている人が多い

日本でスマートフォンを使っている人のうち、6割以上がiPhoneユーザと言われています。

使っている人が多いということは、困った時に助けてくれる友人が近くにいる可能性が高いということに繋がります。

さらにAndroidの場合、製造メーカが違うとキーボードやホーム画面のレイアウト、設定項目の名称が違っていることがあって、Androidユーザ同士であってもあまり詳しくない人だと、アドバイスがあんまり役に立たないことが多いでしょう。

 

② 初期設定が簡単

Androidの問題点は、はじめにバンドルされている用途不明な端末メーカーとキャリアのアプリの存在です。

初期設定の画面で、色々とあーしろこーしろ、これを使えというのを言われますが、ほとんど使わなくていいです。(むしろ使わない方がいい)

なんですが、基本的に全部「はい」と答えてなんだかアプリが大量に入っていて何を使えばいいのかわからない状態からスタートする方が大半でしょう。

iPhoneは逆に不親切なくらい初期設定はないです。

初めから入っている洗練されたアプリだけで、基本的なことは一通りできるぞというスタンスです。

キャリアのアプリを使っていた方が、店頭に行った時に色々とサポートしてくれるでしょうが、iPhoneでもそれは同じかなと思います。

各キャリアのショップではわかりませんが、家電量販店の販売員なんかはiPhoneに詳しい人も多いと思いますので、助けてくれるでしょう。

 

③ 買い替え時に迷わない

Androidのスマートフォンはいろんなメーカからいろんな機種が発売されているのですが、iPhoneはひとつです。画面のバリエーションや、容量の大小はありますが基本的には同じです。

Androidのいい所として、製品の裾野が広いことがあって、性能を抑えた代わりに低価格な廉価品から、高精細な画面と強力なCPUを積んだフラッグシップまで、いろんなバリエーションがあります。

なのですが、選ぶことができるということは、ある程度選べる知識がないと、あまり自分に合わないものを買ってしまう可能性があるという弱点にもなりえます。

安くスマートフォンを買えるというのも魅力のひとつですが、安いAndroidを買うくらいなら、1-2年型落ちのiPhoneを買った方がいいとさえ思います。

この辺は、安心して目利きを頼める人が近くにいるかどうかにかかっていると思います。

 

④ リセールバリューが高い

iPhoneは中古品市場でも需要が高いからか、買い替えをする時にも高値で取引されます。

販売元のAppleも積極的に下取りプログラムを取り入れているので、買値は高いですが機種変更も考慮して長い目で見ると、実はそんなに高くならないということも考えられます。

正直ちゃんと比べた訳ではないので正確にはわかりませんが、そこそこの頻度(2年くらい)で最新モデルを持ち続けたいと思うのなら、iPhoneはリーズナブルな選択肢になり得ると思います。

 

まとめ

上記の点があてはまらないという人はAndroidももちろんおすすめできます。

まぁ、そんな人はこの説明をみなくてもわかっていると思います。

もしくは、近くに頼りになるお助けマンがいるとかですかね。

 

しかし、わたしはというとこれからもずっと、Androidをメインで使い続けるでしょう。

近年はクラウドサービスが非常に便利になってきており、写真や動画の管理、音楽ストリーミング等に大いに活躍しています。

AppleはGoogleに対してこの分野で遅れを取っている感が否めないです。

AppleはiTunesで大きな成功を収めましたが、その後躍進したiPhoneに比べてサービス面はパッとせず、GoogleやAmazonの勢いに押されているように見えます。

上から下まで自社製品で固めようとするAppleの伝統的なやり方は、全てがハマると10年前に世界を制覇したようなとてつもない勢いになるのですが、流行り廃りがあって、うまくいかないと何をやってもダメということにもなります。

Appleは、かつてPC市場で同じやり方でWindows95にこてんぱんにやられて倒産寸前にまで追いやられたことがありました。

10年の節目を迎えて、スマートフォン業界も新しいステージに移っていくような気配を感じます。