
あまりに的を射ている表現というのは、思わず記録しておいていつでも読み返したくなるものです。
シリコンバレーの投資家ベン・ホロウィッツが記した書籍『HARD THINGS』にて、良いプロダクトマネージャーと悪いプロダクトマネージャーについて、彼の考えがとてもに身にしみたので記しておきます。
著者はかのネットスケープ社(インターネット勃興期にMicrosoftのInternet Explorerと覇権を争ったWebブラウザ、Netscape Navigatorが有名)などを経ていくつかの企業を経営し、最終的に16億ドルもの金額で会社を売却した経歴を持つ起業家でもあります。
基本的には引用ですが、日本の会社にも通じやすいように一部若干言い換えている部分もあります。
マインド
良いプロダクトマネージャーは、市場、製品、製品ライン、競合を非常によくわかっていて、深い知識と強い信頼に基づいて行動する。製品に対して全責任を負い、製品の成功によって自分自身を評価する。
悪いプロダクトマネージャーは、山ほど言い訳をする。資金が足りない、開発者がバカだ、他社では10倍の人数で取り組んでいる、自分は働きすぎで十分な指示を受けていない。
行動様式
良いプロダクトマネージャーは、何をすべきか(What)を明確に定義し、どうやったらできるか(How)ではなく、その何か(What)が実現するまでを管理する。
悪いプロダクトマネージャーは、「How」を思いついたときに、最高の気分に浸る。
時間の使い方
良いプロダクトマネージャーは、関係部門に自分の時間を吸い取られたりしない。開発チームの時間を食いつぶさない。個々の機能を管理しない。開発者の使いパシリではない。販売やマーケティング部門、幹部でも活用できる販促用品、FAQ、プレゼン資料、ドキュメントをつくる。製品の深刻な欠陥を予見して、真の解決策を準備する。
悪いプロダクトマネージャーは、販売部門のために一日中質問に答えて多忙極まりないと不満を訴える。一日中火消しに追われている。
コミュニケーションスタイル
良いプロダクトマネージャーは、重要な問題については書面で見解を示す(競合に対する特効薬、アーキテクチャ上の困難な選択、製品に関する困難な決定、攻めるべき市場と引くべき市場)。
悪いプロダクトマネージャーは、自分の意見を口頭で述べ、「権力」がその意見を通してくれないと嘆く。自分が失敗すると、失敗は予言していたと主張する。
マネジメントスタイル
良いプロダクトマネージャーは、チームを売り上げと顧客に集中させる。良い製品を大きな努力によって実現できるものと定義する。
悪いプロダクトマネージャーは、チームをライバルが開発している機能の数に集中させる。良い製品を実現不可能なものと定義するか、あるいは開発チームに彼らがつくりたいものをつくらせる(=最大の難問を放り投げる)。
顧客目線
良いプロダクトマネージャーは、マスコミに書いてもらいたいストーリーを考える。報道陣に質問し、本当に彼らは頭がいいと考えている。
悪いプロダクトマネージャーは、あらゆる機能を網羅することを考え、マスコミに対して絶対的に厳密であろうとする。報道陣の質問に答えるだけで、彼らはバカだ、わが社の技術の微妙なニュアンスを理解していない、などと考えている。
失敗の原因
良いプロダクトマネージャーは、明瞭であろうとしすぎて誤りを犯すことがある。自分の仕事や自分の成功を定義する。
悪いプロダクトマネージャーは、当然説明すべきことも説明しようとしないで失敗する。いつも、何をすべきかを誰かに言ってもらいたがる。
規律
良いプロダクトマネージャーは、状況報告書を毎週時間通りに提出する。規律正しいからだ。
悪いプロダクトマネージャーは、状況報告書を時間通りに提出しない。規律を重視していないからだ。
まとめ
何らかの製品開発に携わっている人は、過去にいくつか思い当たる場面があるんじゃないですかね。
良いプロダクトマネージャーにどれだけ近づいているか、検証してみましょう。