ファブラボで3Dモデルの造形を行なっていると、普段の生活では出会うことがない人々が訪問してくるのでおもしろいです。

特に多いと感じたのは、ファブラボ運営を通じて弱った地方を復興させようと考える人たちです。

 

地方の抱える悩み

いわずもがな、日本の地方は少子化や若年層の都市部への流出に伴って高齢化が急速に進行しています。

内閣府の予測では、2060年頃までの日本全体の高齢化率推計が出ていますが、これによると向こう40年はずっと増加を続けます。

とはいえ、2050年をすぎるとだいぶ増加の度合いは少なくなっていて平衡状態に向かっていくように見えますね。

人口というのは世代間の比率自体に問題があるわけではなくて、時間経過で世代ごとの比率が大きく変化しないことが重要なのです。

だから、「4人にひとりが高齢者!」ということ自体が問題なのではなくて、「ちょっと前は10人にひとりが高齢者だったのが、4人にひとりになった」というのが問題なのです。

4人にひとりが高齢者なのであれば、それに見合った助け合いの仕組みや社会制度を構築していけばよいわけです。

と、ここまでは日本全体の話なのですが、地方で問題なのはこれらの問題に他よりも先に直面するという時間的な制約があるというです。

 

製造業における課題

地方の高齢化した製造業には、例えば旋盤加工業のような低いレイヤーのスペシャリストが多く存在しているので、それぞれの分野ではかなりの熟練工と言える人材が揃っています。

ただ、スペシャリストはその道を極めたものであるがゆえ、例えば同じ加工業であってもジャンルが違うとあまり話が通じなかったりするものですから、垣根を超えて連携をとることを嫌います。

自分の領域であれば、とても生産性が高い状態で仕事ができるのに、違うジャンルの技術者とコラボレーションすることになった場合には、最初に大きな生産性の低下を受け入れなければならず、それが嫌で内にこもってしまうようなきらいがあります。

幼少期からずっとスキーをやっていてすでに上級者の腕前なのに、明日からスノーボードをやれと言われたらまた初心者に戻ってしまうので躊躇してしまう……そんな感じです。

だからこういう関係性の中に完全に素人レベルな行政の担当者が外から何と言ってもなかなか解決しないわけですね。

ゼネラリストの出番

スペシャリストの間を取り持つのはゼネラリストの役目です。

浅く広く事業に必要なスキルを理解し、必要に応じてスペシャリストの協力を取り付けるのが彼らの仕事です。

また、そのときに世の中で求められていることに関する嗅覚なんかも期待されています。

このゼネラリストは逆に都市部に多く存在しており、彼らは彼らで自分自身に軸と言えるスキルがないことを気にしていたりします。

つまり都市部と地方でお互い無い物ねだり状態になっているわけですね。

 

まとめ

スペシャリストが物理的な制約で都市部に出てこれないのであれば、身軽なゼネラリストが地方に赴かなければなりません。

人々の『困った』を解決するのが商売の基本であるわけですから、そこにビジネスが生まれる可能性も大いにあると言えるでしょう。

わたしも典型的なゼネラリストなので、これまで培った経験を活かせる場がないのかは継続的に探していきます。