
世の中の働く多くの人たちに、残業は付き物だ。私は残業が大嫌いで、周りに残業をしている同僚が多い中でも平気な顔して帰れる能力を有しているのだが、ここに至るまでには長い年月を要した。
残業とは何か
ホワイトカラーワーカーにとって、残業とは本来は発生し得ないものだ。なぜなら、上司から与えられる仕事は定時の時間内で終わらせられる量なので、時間内で終わらないはずはないからだ。
でも現実はそうではなくて、2つの理由で残業が発生する。
一つ目は上司側の問題で、部下の能力を過大評価してしまい、能力以上の仕事を与えてしまうケース。悪質なものになると、所定時間内にできる量ではないとわかっていて任せる場合もある。
二つ目は部下側の問題で、期待されている能力(=給料)に見合ったパフォーマンスを発揮できないケース。「期待されている能力」を計測するのは難しいが、同程度の給料をもらっている同僚よりも仕事が遅ければ、パフォーマンスが足りていないと見るのが適切だろう。
どうしたら残業がなくなるか
上の二つのケースに分けて対策を考えてみよう。
一つ目の上司側の問題は、部下が解決しよう。すなわち、仕事が終わっていなくても定時で帰ってしまうのだ。そうすると、当然仕事が残ってしまい、困るのは上司だ。怒るとは思うが、関係各所に謝り行脚に行く羽目になるのは上司だ。
二つ目の部下側の問題は、上司が解決しよう。パフォーマンスが低い部下は、ひっそりと仕事を減らし、評価を低くしよう。そして、新たな人員を補填する。
これが正しい処方箋だ。
みんな逆のことをしている
残業が無くならないのは、多くの職場で逆のことが行われているからだ。
上司側の問題に対しては、部下は与えられた仕事を全うしようと、無尽蔵に時間をかけて達成する。そして、それを横目で見て居た同僚も負けじと時間を使い、より高い成果を得ようとする。こうして、部下は上司を欺こうとする。
部下側の問題に対しては、上司はなんとかパフォーマンスの低い部下を成長させて人並みにさせようと、尻を叩き続ける。なぜなら、生産性を上げた事例が報告されて管理職は表彰されるが、人員を追加して同じことを達成しても評価されない。だから、「あなたには期待している」などと甘い言葉を使って部下を騙そうとする。
樹木の密集するアマゾンのジャングルでは、高木がとても多い。これは、周囲の自分より高い木に日光を遮られまいと、お互いが背伸び競争をした結果だと言われる。
ちょうどこれと同じことが企業の従業員の間でも起きている。そして、どんなに人間が進化しても、人々が集う組織である以上、無くなることはないので個人の努力では解決できない。
まとめ
残業をなくす為の結論は、部下も上司も含め、全ての従業員の評価軸を180度変えることだ。つまり、仕組みを変えることだ。
部下は、単位時間当たりでこなした仕事の量と質で評価されるようにする。かけた時間をの総量を無視しないことが重要だ。
上司は、現在持っているチームリソースから生み出された価値の比率で評価されるようにする。以前の状態からの差分で評価されるのではない。