
子どもも2歳をすぎると、秩序について理解するようになってきます。
一緒にご飯を食べているときに話しかけようとすると「ごはんたべてー」とか、椅子に座ろうとすると「ままこっち、ぱぱこっち」とか座る位置を指定してこようとしてきます。
こういう傾向が現れてきたら、秩序の敏感期の只中にあると理解するのがよいです。
行動のコントロール
秩序に対する意志を持った子どもは、その意志で自らの行動を律することができるようになっています。
先に述べた物や人のある場所に対する秩序は、誰の目に見てもわかりやすいので、子ども自身も気づきやすいですし、大人も意識しやすいです。
しかし、子どもが気づきにくい秩序というのもあります。
例えば、子どもがこのところずっとテレビや動画ばかり見ている……となった場合、どうしますか。
こういう時に有効な秩序は時間です。
時間を可視化する
場所と違って、時間は直接見ることができません。
身近に時間を可視化する物としては、時計やストップウォッチがありますが、これらを使うには数字の理解が必要なので、2歳程度の子どもにはまだ無理です。
そこで利用するのがタイムタイマーです。
これはもう、大人が見れば一目でわかるでしょう。
残り時間が赤い色で塗りつぶされたストップウォッチです。
塗りつぶされた領域の大きさで残り時間の量が、徐々に減っていく変化で時間の経過が感覚的に理解できます。
このひと目で見れば誰でもわかるというわかりやすさが、子どもにとってはとても重要なわけです。
たかがストップウォッチにここまでやるか?と思われるかもしれませんが、今この製品はビジネスの世界でも生産性を高めるためのツールとして注目されています。
今から約30年前にひとりのアメリカ人が4歳になる娘のために発明した製品で、現在ではアムステルダムの幼稚園からスタンフォード大学の講義にまで、時間を大切にする人たちによって世界中で利用されています。
ホームページもとてもおしゃれなつくりです。
子どもの為だけではない
時間を守れていないのは、子どもだけだと思っていませんか?
実は日本人は、始まりの時間には敏感だけど、終わりの時間には鈍感な傾向があります。
会議は終了予定時間よりもちょっとオーバーしてもいい、終業時間よりもちょっと遅く帰るのが美しい、なんて思っていませんか?
これって、おそらく学校教育の失敗だと思うんですよね。
いませんでしたか?
授業の開始時間に席に着いてないとガミガミ言うのに、終わりのチャイムがなっても「重要なところだからあとちょっと!」と言って授業を終わらせない先生。
逆にアメリカのホームドラマでよくある光景は、終業のチャイムがなった瞬間に先生が話していても席を立って出ていく生徒たちの姿です。
私たちはこういう大人の姿をみて育ってきていて、その結果『開始時間を守ることは重要だけど、終了時間を守ることはそれほど重要ではない』という価値観が体に染み込んでいます。
そして同時に、『自分の時間よりも、他人の時間の方が大事』という価値観も植えつけられています。
日本人の残業時間の長さや、生産性の低さというのはこういう小さなところに起因しているのです。
まとめ
他人の人生を生きることは、不幸への第一歩とアドラーも言っていました。
タイムタイマーを使って、子どもには時間の大切さというのを理解させると同時に、わたしたちもこの植えつけられた価値観から抜け出しましょう。