
つい何気無い一言が、人の神経を逆撫でしてしまうことがあります。
人が集まる場所や会議などの場で、ある瞬間からどうもコミュニケーションが表面的になったな、と感じる瞬間がそれです。
俗にいう脊髄反射というやつですね。
会話のキャッチボールが相手の心と脳を通ることなく、脊髄から返ってくるように感じたら黄色信号点灯です。
ちなみに脊髄反射の回答は、それまでの議論の応酬と比べると応答時間が明らかに早いので、勘のいい人はすぐにわかります。
応急手当
脊髄反射回答が出たな、と感じたらやらなければいけないことが変わります。
間違っても、無視してそのままのペースで議論を進めることをしてはなりません。
なぜなら、脊髄反射回答をするようになってしまった人は、もうその場にいないようなものなのです。心を閉ざしてしまっています。
脊髄から回答するということは、心や脳をストレスから守ろうとする一種の防衛機能なのですね。
定常状態に戻してあげないと、そのあと何を言っても脊髄から返ってくるようになります。
だから、そのまま話し合いを進めるということは、壁に向かって話しているようなもので、まったく意味がないのです。
違和感を感じたら、まずは新たにやらなければならないことに思いを巡らせ、深呼吸しましょう。
新たなる出発
場の空気が変わったら、そこからが出発点です。
もしも、それまでのコミュニケーションがスムーズに進んでいたのなら要注意です。
あなたがもし『前の状態に戻そう』という発想で進めようとするならば、状況をさらに悪化させることになるでしょう。
なぜならそれは、相手を変えようとすることに等しいからです。
元に戻すということは今が異常な状態であるという前提にたっています。
そして、異常状態になってしまったのはカチンときた人であり、その人さえ元に戻ってくれれば丸くおさまる、ということになります。
しかし、おそらくそのままのやり方を続けて元に戻ることはありません。
ある程度の常識人であれば、表面的に元どおりに見せることはできるでしょうが、きっと心の中は閉じたままです。
これではそれ以降何を伝えても、それらの言葉が心に届くことはないのです。
このままではせっかく集まって議論している意味がありません。
ですので、脊髄反射回答が出た時に真っ先に考えるのは、どうすればここから最高の結末を迎えられるのか、という道筋をゼロから考えることです。
原因と対策
誰の、何の言葉が相手をカチンとさせたんでしょうか?
それを探して、解決の手を差し伸べてあげることが必要です。
カチンとさせたことは、ほぼ間違いなく以下の4つのどれかを尊重しなかったことに原因があるといいます。
- 価値理解: 自分の価値や、自分が良いと思っている価値を認めて欲しい。
- 自律性: 自分でコントロールしている。自分で自由に決めたい。
- ステイタス: 地位を認められている、尊重されていると思いたい。
- 役割: 自分の役割や活動に満足したい。
だからまずは、相手がカチンときた原因が、上記4つのどれに当てはまりそうなのか、考えてみましょう。
そして、これだ!とアタリをつけたもの似た指定、楔を解き放つように相手に伝えるのです。
例えば、以下のような問いかけです。
- 価値理解 → 「ありがとう。あなたのおかげで◯◯できたよ。」
- 自立性 → 「わたしはA案とB案だったら、A案がいいと思います。でもいずれにせよ、最後はあなたが決めていいですよ。:
- ステイタス → 「あなたは◯◯のスペシャリストですよね。」
- 役割 → 「いつも◯◯してくれて助かります。あなたしかできない仕事ですね。」
うまく当たれば、相手の気持ちは開きおのずと元に戻るか、さらによい関係を構築できるようになるでしょう。
まとめ
相手をカチンとさせることを恐れて、萎縮しないことです。
カチンとくるかどうかは、相手の問題であり、あなたがどうこうできる問題ではないのです。
人の価値観は多種多様です。同じ状況で同じ発言をしても、人によって反応がかわります。
大事なのは、「カチンとさせたことに即座に気づく」「違和感を放置しない」「何らかの対策を講じる」をサボらず丁寧にやることです。