
夫婦間でのモメごとの最たるものといえば、家事の分担に関することです。
各家庭ごとにいろんな分担の仕方があると思うのですが、どうするのがよいでしょうか。
家事サービスの顧客は自分
『家事』を一つのサービスのように捉えることで、その正体がなんなのか考えてみましょう。
家事は誰のためにやるのか、というと紛れもなく『その住宅に居住している人』ということになるのですが、基本的には『自分(達)』ということになります。
サービスの価値というのは、絶対的な価値指標があるわけではなくて、人それぞれに価値基準があって、その対価は受ける側に決める権利があります。
サービスを享受する側が、売値よりも価値が高いと判断すれば買いますし、低いと判断すれば買わない、ということになります。
自分でやる家事の場合、この価値基準は金額に換算するとゼロ円だと言えるでしょう。
なぜなら、サービスの提供者と受益者が同じなので、受益者として対価が発生しない範囲内でサービスを提供しようとするからです。
家事代行サービスと違うのはこの点で、やっている内容は全く同じものでも、サービス受益者側が対価を支払うつもりがあるかないかでは、その位置付けは全然違います。
だから、ここまでやったらお金を払わないとなと思えるレベルまで片方が勝手にやってしまうのも考えものです。
時間がある専業主夫・主婦に多そうですが、パートナーが必要と認める以上のことまでしてしまうのは、家事ではなく趣味になってしまいます。
散々趣味に時間をつぎ込んでおいて、「私ばかり負担が多い!」と言われても「いや…そこまでは必要ないでしょ…」となってしまいます。
やればやるほどキリがないものでもあるので、家事の作業範囲を共通認識にしておく、というのが重要です。
分担の考え方
では、次に夫婦で分担の割合をどう決めたらよいのか、考えてみましょう。
結論から言うと、夫婦それぞれが自由にできる時間の比率と同じにするのがよいとわたしは思います。
共働きであれば基本的には50:50であり、片方が専業主夫・主婦であれば20:80くらいになるでしょう。
もちろん、通勤時間の違いなどもありますので、人によって微妙に異なってくることはありますね。
ここでポイントなのは、収入の多寡や残業時間の概念を計算に入れないということです。
まず1点目の収入が多いか少ないかは、その人の労働単価が高いかどうかを表しています。
例えば会社勤めで年収1,000万円の夫は、働いている時間は生産性が高いので時間は尊重されるべきですが、自由時間は時給ゼロ円ですので、できることはやりなさい、ということになります。
「給料が高い俺は大変な仕事をしているんだ!」というのも意味がない主張で、その人の給料はこれまでの業績が評価されて設定されているものなので、現在大変かどうかは関係ありません。
心身ともに疲れ果てて、家に帰って家事をする元気がない、というのであれば与えられている仕事が自らの能力を超えてしまっているのでしょう。
次は残業時間をカウントに入れないという点です。
残業というは自らの意思で自由時間を潰してやっているものなので、言ってみれば夫婦の共有財産である時間を片方の仕事に当てているということになります。
共有財産をつぎ込むので、当然ながらもう一方の許可を得られていることが必要ですが、あまり説明せずにやってしまっている人も、特に男性には多いのではないでしょうか。
まとめ
ここで書いたのはベースとなる考え方で、あとはこれに様々な特約をつけていくことになります。
絶対に譲れない趣味の時間がある、とか、仕事に打ち込みたいので1日2時間の残業はさせてもらいたい、とかそういう個人的な事情ですね。
これで重要なのは、その時間をつぎ込んでしまう前にちゃんと夫婦間で納得いくまで話し合って合意を得ておくということです。
できれば結婚前にやっておくとスムーズですが、結婚後でもやりたいことや家事の量は時間とともに変わっていきますので、定期的に約款の見直しをするかのように調整を行うことが必要です。