暗号通貨の基軸通貨とも言えるビットコインが、来たる10月25日に分裂予定となっています。

「あれ、前にも分裂してなかったっけ?また?大丈夫なの?」と不安になりますよね。

わたしも過去にどういった経緯があったのかこの機会にちゃんと学習しておこうかと思いまして、調べてみました。

 

分裂って何だ

通貨が分裂とか意味がわからないですよね。

「お前の持ってる1万円は明日から5,000円と5,000◯だ!」とか言われてもよくわからないです。

◯がUSドルだったら狂喜乱舞しますし、ジンバブエドルだったら発狂します。

で、この分裂は暗号通過界隈の専門用語ではハードフォークといいます。

ブロックチェーンは正常に動作している場合でも、最新の番号のブロックが2つに分裂することが起こり得ます。

これを単にフォークとか、ソフトフォークというのですが、世界のどこかで同時にふたりのマイナーが最新ブロックを見つけだすことがありうるので、ふつうに起こります。

この2つは同時に形成されてから仲間を集める競争を始め、多数派の承認を得て競争に勝った方が正式なブロックとして認められます。

負けた方はオーファンブロックとよばれる孤児になります。

なんだか寂しいですね。生物の生存競争のようです。

 

通常であればこのようなフォークが起こることは問題になりませんが、これをあえて全員が示しあわせて意図的に行うのがハードフォークということになります。

 

ビットコインは古い通貨

暗号通貨というと未来のはなしのように聞こえるかもしれませんが、そのなかでもビットコインはいちばん最初に誕生した通貨であり、後発のアルトコインに比べると技術的にはいろいろな問題を含んでいます。

また、ブロックチェーンがいちばん長いので、規模が大きくなったことで問題に直面するようになっています。

そういった技術的な問題点を改善しようとしたときに行われるのがハードフォークであり、ビットコインのコア開発者の中で解決策の意見が割れると複数の通貨に分裂して、それぞれ別の通貨として存続することもあります。

で、ビットコインの問題点はなにかというとよく言われるのが「スケーラビリティ」です。

ネットワークが大きくなってきていて、このまま続けると破綻するよという要素がいくつかあるわけです。

そのうちのひとつが「ブロックサイズの問題」と呼ばれるもので、1つのブロックの大きさが1MBと決まっているので、この中に取引情報が入りきらなくなると、情報が消失して大変なことになるというのが心配されています。

ちょうど、インターネットにおけるIPv4とIPv6の関係ににています。

このブロックサイズ問題を解決する方向性には2つのパターンがあって、「ブロックのサイズを大きくする」というものと「ブロックの中身を小さくする」というものです。

後者を実現するための方法がSegWitとよばれる情報圧縮の技術です。

では、分裂の経緯を見て行きましょう。

 

1回目の分裂:ビットコインキャッシュ

ビットコイン1回目の分裂は2017年8月1日におきました。

ビットコイン開発者コミュニティにはビットコイン改善提案(BIP)という意思決定の仕組みがあって、これの91番目の提案、いわゆるBIP91がSegWitのビットコインネットワークへの適用でした。

BIP91はマイナーの97%の承認を得て実行に移されましたが、これに反対した一部のマイナーたちは、「ブロックサイズを8倍、つまり8MBにする」という解決策の方を選択しました。

これにより誕生した新たな通貨がビットコインキャッシュです。

どちらも未来に直面するであろう同じ問題を解決しようとしたものであるため、その評価も未来に委ねられることになります。

 

2回目の分裂:ビットコインゴールド

来週、2017年10月25日に行われようとしているのが2回目の分裂です。

こちらが解決しようとする問題は、ブロックサイズの問題ではなく、一部のマイナーへのマイニングパワーの集中です。

現在、ビットコインのネットワークを支えている大半が中国によるものと考えられており、莫大な資産をもった一部人間が中央アジアの広大な平原に巨大なマイニング設備を建築しているということが噂されています。

マイニングパワーが一部の人間に集中することによりおきる問題とは、ビットコインネットワークが改ざん耐性に弱くなるということです。

最近は、ASICと呼ばれる特定用途向けチップで行われることが主流になっており、マイニングに特化したASICの登場によって一部のマイナーへの依存度が上がりました。

ビットコインゴールドはASICによるマイニングを無効化するEquihashと呼ばれるアルゴリズムが実装される予定であり、これによって健全な分散ネットワークを取り戻そうという取り組みなわけです。

一見良いことのようにみえるのですが、これでなぜ賛否が分かれるのかというと、この対策は既に他の一部のアルトコインで導入済みだからです。

「だったらアルトコイン買えばいいじゃん」というツッコミが、袂を分かつ理由なのです。

 

3回目の分裂:ビットコインSegWit2x

ビットコインゴールドと袂をわける予定の現行ビットコインが、2017年11月に予定しているのがSegWit2xと呼ばれる分裂です。

こちらは1回目の分裂と同じく、ブロックサイズ問題にかかわるものであり、8月1日のSegWit適用時に「SegWit導入するけど半年以内にブロックサイズも増やすよ」という約束を取り交わしたニューヨーク協定とよばれる合意に基づき行われる改善です。

「2x」とついていることからわかるとおり、ブロックサイズを2倍の2MBにするというものです。

なんですが、実際に近づいてくるにつれてこのニューヨーク協定の支持を取り止めるマイナーや企業が続出しており、その結果また分裂になるのではないかと言われています。

ニューヨーク協定からの支持が離れている理由は、リプレイアタックと呼ばれるいわゆるハードフォーク時の混乱を利用したハッカーによるコイン盗難に対する対策がとられていないというものです。

 

まとめ

結果的に7月までひとつであったビットコインが以下の通り、年末には4つに分割されていることになります。

  1. ビットコイン・・・SegWit適用済み。ブロックサイズ1MB。
  2. ビットコインキャッシュ・・・SegWit未適用。ブロックサイズ8MB。
  3. ビットコインゴールド・・・SegWit適用済み。ブロックサイズ1MB。ASIC対策導入。
  4. ビットコインSegWit2x・・・SegWit適用済み。ブロックサイズ2MB。

 

これに対する私の意見はどうか?という点に関しては、まー持つならビットコイン一択でしょうね。

もともとアルトコインに対するビットコインの優位性は「先行している」、ただそれだけ1点のみなので、今さら新たに生まれる分岐に価値はないと思っています。