モンテッソーリ教育のまず最初に取り上げるのは運動に関する教育です。

過去記事:小学校に入るまでに、子供に課された宿題。

 

この分野の教育思想は、マリア・モンテッソーリの本職が医師であったことを強く感じさせるものになっています。

子どもの成長に必要な要素を、人体を医学的に分析することで理解します。

 

赤い人と白い人

モンテッソーリは生命を赤い人と白い人という呼び方で、2つにわけました。

  • 赤い人:発育にかかわる生命
  • 白い人:外界と関係を持つことにかかわる生命

 

赤い人は血液の循環組織を意味します。

心臓を中枢として、もう毛細血管という微細な組織が身体全体に広がっています。

 

白い人は神経系統です。

大脳という中枢を持ち、無数の神経が分岐して末梢神経が全ての感覚期間に広がっています。

神経は意志をつかさどる中枢神経系と、感情をつかさどる大交感神経系にわけられます。

 

赤い人の生み出す栄養素を使って作り出された筋肉が、白い人が発する命令にしたがって身体のいろんな部分を動かします。

これによって、人間は活動することができるのですね。

この極めて単純な理屈を、教育を施す大人は知っていなければいけないということです。

 

赤と白 両方に働きかける

子どもに運動を教える際には、内面に存在する赤と白の人両方に働きかける必要があります。

赤と白の人は機能的にはまったく異なっているのですが、人間が行うすべての活動はこれらの2つの人が両方必要です。

だから、どちらかを縛りつけた状態でを施すことがあってはならないということですね。

 

このよくあるミスの代表的な例が、小学校での教室での授業と体育の時間の関係です。

子どもにとって、教室での授業は身体を机と椅子に縛りつけられながら、脳だけを働かさなければいけない苦痛の時間なのです。

つまり赤い人が身動きできないようにしているのですね。

そして体育の時間は、授業で受けた苦痛の癒しとして、脳を停止させて思いっきり身体を動かすことが推奨されています。

つまり赤い人と白い人に対する教育が時間的に完全に区切られて施されているわけです。

 

まとめ

この考え方が日常生活を使った運動練習に繋がっていくわけですね。

ただ身体を動かせばいいというわけではなくて、子どもの内面(白い人)から湧き出る活動欲求をうまく活用して筋力をつけるようにしていけばよいということです。

次回は運動の教え方をみていきます。